佐野慶太
AS5 RA
No.1
- 「どんな学生スタッフが寮を運営しているの?」「他のフロアってどんな感じ?」そんな疑問を持つ寮生のためのコラムです。学生スタッフの仕事や人柄、フロアの様子を、それらにまつわる「モノ」と共に伝えていきます。
- 「人と話すのは苦手。他人との間に壁を作ってしまうから」。そう言いつつもフロアの皆で共有できるように、買いすぎてしまった紅茶パックを共有スペースにそっと置く。帰寮すれば必ず、共有スペースに話し相手がいないか見に行く。すでにA棟南5階は「壁」の内側だ。スペインへの長期留学を目指しており、その準備としてRAを志望した。フランス語はお洒落すぎ、語学が堪能な父親に中国語では勝てないし……。悩んだ末スペイン語を必修の第二外国語として選んだ。消去法の末にたどり着いたが、スマートフォンの設定言語もスペイン語にするほど学習に熱が入り、留学を希望するようになった。異文化交流の一歩としての寮生活。苦労した思い出は特にない。「フロアメイトはみんな会えば話しかけてくれるから」。それだけでなく自身もフロアパーティーなどを通して、人に喜んでもらうことに楽しさを感じ始めた。フロアメイトは「(佐野RAは)必要以上に距離を詰めすぎたりはしないけど、一歩引いてフロアを支えてくれる感じ」と話す。
〇A棟南5階とホワイトボード
片手に持つことのできるくらいの小さなホワイトボードが、共有スペースの机の隅に置いてある。書かれているのはフロア内卓球大会のトーナメント表だ。試合は深夜ごろから突発的に始まる。机を卓球台、スリッパをラケットにして戦うが、ただの即席卓球大会ではない。世界大会なのである。フロアの住人が仮想の卓球選手になり切り、出身国の代表として戦う。佐野RAは英国代表Jean選手(21)。破天荒な問題児だが、次世代を担う選手として注目されている。親日家。最近、恋人と破局したという裏設定もある。他にもドイツ代表や首位に立つロシア代表など、選手も設定も盛りだくさんだ。寮の片隅で行われる熱戦から目が離せない。